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最高裁判所第一小法廷 昭和23年(オ)51号 判決 1948年11月18日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人田中尭平上告理由第二点について。

本件売買代金の一部につき支払の猶予並びに延滞せる場合の遅延利息の契約は、些少の支払遅延については債権者において不問に附することの意思表示であるという所論の事実は、原判決が認めることはできぬとしたところである。そして、原判決のこの事実認定は、所論のように経験則に反するものとは、当裁判所において認め得ない。論旨は、結局原審の自由裁量に属する事実認定の不当を非難するに帰し、上告適法の理由とならない。

同第三点について。

原審において、上告人は単純に所論のごとき主張をしたものではなく、第二点に主張するがごとき合意を主張しついで「斬る約束がありながら多少の遅延を口実に直ちに契約を解除せんとすることは公序良俗に反する無効の行為といはざるべからず」と主張している。ところが、第二点において説明したごとく原判決はこの前提たる合意ないし約束の存在を否定することを明らかに判示しているから、この前提に基づく抗弁は当然否定せられているものと解するを相当とする。従つて、原判決には判断の遺漏又は審理不尽の違法はなく、上告は理由なきものと言はねばならぬ。(その他の判決理由は省略する。)

なお、昭和二三年七月二五日附上告理由書は、期間経過後の提出にかかるから、これについては説明を略する。

よつて民事訴訟法第四〇一条、第九五条及び第八九条により主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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